
こんにちは!
好きな手遊びは「コロコロたまご」保育士のサボジローです!

子どもが保育園で手遊びたくさん覚えて帰ってくるんだけど、ぶっちゃけ手遊びって意味あるの?

難しい質問!
保育士で手遊びをしない人はほぼいないだろうけど、この質問にしっかり答えられる人も少なそう・・・。
保育士をしてれば手遊びって絶対いくつかは知っていますよね?
それもそのはず、保育の養成校でも授業で教えているからです。
実際の保育園でも毎日のように手遊びが遊ばれていますし、本屋さんで保育の専門書コーナーを見れば何冊も手遊びの本があります。
そのくらい保育とは切っても着れない手遊び。
しかし、実際子どもにとってなんの意味があるの?
そんな素朴な疑問を徹底深堀りしていこうと思います。
ちなみみに、手遊びはある研究によれば3985曲も存在が確認されています。また、各地方や個人でのアレンジも加えればその数は数え切れません。一説によれば、1万曲も存在しているとも。
(参考文献:幼児教育における「手遊び」の教育目的および教育効果に関する研究,星原 薫・佐藤 史人,2015)
これだけの数が存在している手遊び、意味がないわけないですよね?
手遊びとは?

まずは、根本的に手遊びの定義って何?という話です。
goo辞書によれば、「手遊び」とは
1 手に持って遊ぶこと。また、そのもの。おもちゃ。
2 暇つぶしなどにすること。
3 ばくち。
goo辞書より引用
これは全然違いますね。
では、保育の中で使う手遊びはどういう意味でしょう?
文献によって定義が様々ですが、以下のように定義されています
手遊びとは「音楽遊びの一部分であり、わらべうたの中にも多くある。しかし、伝承的なものだけでなく、『創作手遊び指遊び』も続出している。この遊びは、歌いながら手や指を動かして遊ぶ遊びで、場所を選ばず、どんな狭い空間でも行うことができ、リズム感も育つ。
引用元:『現代保育用語辞典』岡田正章 フレーベル館 1997年
手遊びとは「音楽をともない歌いながら手指、身体を動かして遊ぶものをいう。(中略)わらべうたや外国の曲に振付されたものもある。
引用元:『保育小辞典』茂木 俊彦 大月書店 2006年
私が一番しっくり来た定義としては、ある論文の中で語られる現代版わらべうたという言葉です。
(参考文献:保育教育における手遊び歌についての一考察,笠井 キミ子・久原 広幸・坂田 万代・横山 浩平,2015)
手遊びとは、歌を歌いながら手で振り付けをする子どもの遊びのことですが、わらべうたと非常によく似ています。
しかし、わらべうたのように昔から受け継がれてきたものばかりでありません。
手遊びがいつ頃生まれたかのは、はっきりわかっていませんが、「わらべうたから派生していったものである」という説が有力なように思います。
なので、手遊びとは「現代版わらべうた」である。という表現が一番しっくりきますね。
保育の道具としての手遊び
子どもを集中させるため、話や絵本の前の導入として・・・保育には手遊びが欠かせませんね。
そんな保育の道具としての手遊びの活用法についてお話していきましょう。
導入としての手遊び
保育現場ではメインの活動に入る前の導入。
つまり、子どもの気を引いて集中してもらうための手段として手遊びがよく使われます。
絵本を読む前、制作をする前、朝の会の前・・・。
複数の子どもに一斉に話を聞いてもらうためには手遊びはとても有効です。
手遊びを始めると子どもたちは徐々に興味を持ち、「静かに」と言わなくても保育士の一挙一動に注目してくれます。
しかし、子ども視点で見た場合導入としての手遊びに意味はあるのでしょうか?
例えば、絵本に集中してもらうためならば手遊びをする必要はありません。
簡単な導入として、こんな方法があります。
絵本を逆さまに持って普通に読み始める。
すると、察しのいい子が気づき「さかさまだよ!」と言ってくれます。
そこで、「こっちかな?」「こっちかな?」と何度か絵本の向きを変えるだけで子どもは集中してこっちを見てくれるようになります。
こんな風に小ネタや、話す時の間のとり方だけでも子どもを集中させることは可能です。
では、導入としての手遊びは意味はないのでしょうか?
そこで、こんな実験があります。
- 実験室に子どもが入室。
- 「落ちた落ちた」の手遊びを三回やる。1回目二回目は「雷」「拳骨」が落ちてくる。
- 三回目に半分の子には「りんご」もう半分の子には「雷」が落ちてくる。
- その後りんごの絵を書いてもらう。
この時の「落ちた落ちた」の3回目で「りんご」をやった子達と、そうでない子達の間で集中力に差が出るか?という実験です。
結果としては手遊びの中に「りんご」が取り入れられていた子達のほうが、「りんご」の絵を描くことに集中して取り組んでいたのです。
つまり、課題と関連のある手遊びをした子達のほうが集中できたということです。
これはとてもおもしろい結果ですね。
保育士として働いていたり、実習に行ったりすると「主活動の前に導入として手遊びを」なんて指導されたりしますが、正直「意味あるの?」と思う部分もありました。
それが、この実験によれば子どもの集中力を上げるという効果が実際にあったのです。
導入としての手遊びは本当に意味があったのですね。
(参考文献:保育活動に対する幼児の集中力に及ぼす導入としての手遊びの効果,目久田 純一・越中 康治,2,018)
活動の切り替えのための手遊び
子どもの活動には「動的活動」と「静的活動」2つがあります。
「動的活動」とは活発に動き回る運動遊びや体操などです。
「静的活動」とは制作や絵本、構成遊びなど静かに集中して行う活動です。
この「動」と「静」の活動を切り替える時に手遊びはとても有効です。
子どもは「動」の活動をした後テンションが上っていて、中々「静」の活動へと切り替わることができません。
そんな時、座って手遊びを楽しむ中で少しずつ心が落ち着いていき、自然と「静的活動」へと移っていけるのです。
絵本の前や制作の前に手遊びをする保育者が多いのは、そういった意味があるからなのですね。
場繋ぎとしての手遊び
手遊びの最も大きな魅力の一つは、「どこでも、すぐに、何も使わずにできる」ことです。
集団の子どもを保育していると、どうしても一日の流れの中で子どもに”待ってもらう”時間が出てきてしまいます。
主活動の設定中。
行事の出し物の合間。
散歩前の準備の遅い子と早い子の時差。
子どもたちは何もすることがなければ、走り回って怪我をしてしまうものです。
そんな時、少しの間をつなぐのに、手遊びをしていれば楽しく待っていれますね。
保育の中で集団だからこそできてしまう空白の時間を楽しく過ごすために、手遊びはとても有効な手段です。
子どもを待たせてしまう時はぜひ手遊びをやってみましょう。
手遊び事態に意味はあるのか?

保育のためのツールとしてはとても有効な手遊びですが、手遊びそのものに意味はあるのでしょうか?
子どもにとっていい影響があるのでしょうか?
今度は手遊び事態の効果について考えていきましょう。
ただ、残念なことに「手遊び事態にどんな効果があるのか?」という実証研究はまだ進んでいません。
なので、「手遊びの中にはこういう要素があるので、こんな効果が期待できるだろう」という内容になってしまいます。ご了承ください。
保育所保育指針の中での手遊び
私達保育士の大切な指針である、保育所保育指針の中にも手遊びについてしっかり記述があるのです。
5領域の「表現」の内容の中に以下のように書かれています。
④ 歌を歌ったり、簡単な手遊びや全身を使う遊びを楽しんだりする。
保育所保育指針より引用
保育所保育指針の中でも「表現」の一つとして手遊びを楽しむと明記されているのです。
保育園で手遊びをすることは保育所保育指針にのっとっていることなのですね。
ちなみに、保育所保育指針の中では5領域の「表現」に分類されていますが、手遊びの中には手指を使うので「健康」も、当然言葉を扱うので「言葉」も、友達や保育者と呼吸を合わせて行うので「人間関係」も含まれています。
人によっては「環境」も含まれているという人もいます。
手遊びは5領域がバランスよく含まれている、万能型の遊びなのですね。
脳の発達を促す
よく言われるのは、手遊びは脳の発達を促すということです。
ただ、この点に関しては実証的な実験が行われているわけではありません。
手は第二の脳といわれています。
なぜなら、人間の脳の中で、手や指に関わる部分が大脳の三分の一も占めているのです。
手と脳は非常に密接に結びついているのですね。
そのため、手への外部からの刺激は脳の発達を促すと言われています。
高齢者の認知症予防としても、手遊びは積極的に取り入れられているそうです。
つまり、手指を動かすことは脳の発達を促す、手遊びは脳に良いということなのですね。
手遊びはコミュニケーション力を育てる
手遊びは一人でするものもあります。
しかし、保育園でする時は大抵誰かと一緒にするでしょう。
保育者や友達と一緒に手遊びをする時は、お互い呼吸を合わせて行います。
友達や保育者と一緒に手遊びをするとなんだか楽しい。一緒にやると笑顔になれる。
そんな気持ちが人と関わりたい気持ちを育てていくのでしょうね。
また、「アルプス一万尺」など人とペアにならないとできない手遊びもあります。
「アルプス一万尺」がクラスで流行り始めると、子ども同士誘い合って一緒にやる姿をよく見かけます
手遊びはコミュニケーションのツールとしても一役買っているのですね。
動画の女の子もとても楽しそうで、これを見るだけでも手遊びにコミュニケーション力を上げる効果があると信じることができそうです。
情緒の安定
手遊びの中には人と触れ合う物が数多くあります。
例えば先程の「アルプス一万尺」、「お寺の和尚さん」、「おちゃらか」などです。
人と触れ合うとオキシトシンというホルモンが出て、幸せな気持ちになったり心が安定したりするのです。
そんな側面から、手遊びをすると情緒が安定すると言われています。
愛情ホルモンオキシトシンについて知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

確かに、保育園でアルプス一万尺などを子どもとしていると、他の子も集まってきて自分もやりたがります。
子どもにとって大好きな人と手遊びをする時間というのは、心地よい時間なのでしょうね。
手遊びは文化
さて、ここまで手遊びについて長々と説明してきましたが、ここでは私個人の考えをお話しておきます。
それは、手遊びはすでに日本の文化であるということです。
手遊びは「現代版わらべうた」であるとお話しましたが、本当にそのとおりだと思います。
わらべうたから派生し、時代に合わせ、子どもに合わせて考えられ、口伝で受け継がれていっています。
保育教育における手遊び歌についての一考察という論文の中で行われたアンケートによれば、「手遊び歌を保育に取り入れることはいいことだと思いますか?」という質問に対し、100%の保育士が「はい」と答えています。
この結果がすべてを物語っているのではないでしょうか。
とても近くで、子どもと関わり、専門職として保育をしてきた保育士自身が「手遊びはいいものだ」と感じて保育の中で楽しみ、子どもたちに広まって時代を超えて愛されている。
これはもう、日本の保育や子育ての中で培われてきた「文化だ」と言ってもいいと思います。
実際、私が子どもの頃保育園で覚えた手遊びを、今、保育園で子どもと一緒に楽しんでいるのです。
そんなふうにして、この手遊びという文化を継承していきたいと思っています。
手遊び人気ランキング
さて、保育の中で文化として育ってきた手遊びですが、実際保育士さんに人気の手遊びとはどんな物があるのでしょう?
先程の保育教育における手遊び歌についての一考察の論文の中でアンケートが行われているので、ランキング形式で見ていきましょう。
保育士さんがよく行う手遊びランキングです。
1位 トントンこぶじいさん
定番の手遊び、「トントンこぶじいさん」が第一位でした。(トントンひげじいさんという場合もありますね。)
誰もが知ってるメジャーな手遊びですね。
「トントントントンひげじいさん、ポロッ」というようにひげやこぶが取れてしまうアレンジをすると、子どもたちは大笑いですよ。
現代版アレンジ、「トントンアンパンマン」も今は人気ですよね。
2位 これくらいのおべとうばこ・キャベツの中から
2位は同じ得票数で「これくらいのおべんとうばこ」と「キャベツの中から」でした。
どちらも絵本の導入に使いやすい手遊びです。
はらぺこあおむしを読む前に「キャベツの中から」を歌うなんて人も多いのでは?
4位 やきいもグーチーパー
秋になると歌いたくなる手遊び、「やきいもグーチーパー」が第4位です。
グーチョキパーを覚えていく2から3歳児の子どもたちに特に人気ですね。
5位 大きな栗の木の下で
5位は「大きな栗の木の下で」でした。
実は曲はイギリス民謡なのです。
作詞者、作曲者共によくわかっていません。
こんな風に誰が作ったかわからない歌が、口伝で受け継がれてくるってロマンを感じます。
以上、保育士によく歌われている手遊びランキングでした。
200名ほどの回答者のアンケート結果ですから、また別の場所でやれば順位は多少入れ替わるかもしれませんね。
でも、きっと上位に登場する曲は変わらないのではないでしょうか。
まとめ
保育園で手遊びは当たり前のように行われています。
保育士さんなら、最低でも10個ぐらいは手遊びをすぐできるでしょう。
でも、手遊び事態にどんな意味や効果があるのかな?と感じることありますよね。
そんな手遊びに関する疑問を深堀りしてきました。
結論としては、実証的な研究はまだあまり進んでいませんが、手遊びは幼児教育の中で培われてきた立派な文化です。
何より子どもがあんなに楽しんでいるのだから、保育の中で手遊びをするのはとてもいいことですよね。
子どもが楽しいことが一番大事です。
ただ、一つ気をつけたいのは、手遊びを保育の道具だけにしてしまわないようにすること。
もちろん、手遊びは子どもを惹きつけるのにとても便利ですが、導入や場繋ぎの道具だけにしてしまうのは寂しいです。
なんでもない時、リラックスして子どもとゆったり手遊びそのものを楽しむ時間を大切にしていきたいですね。
幼児教育の中で作られてきた大切な文化、手遊びを大事に守っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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