
こんにちは!保育士のサボジローです!
この間、ある離島に渡るフェリーの中、夢うつつでテレビを眺めていたら、「ミネルバ大学」という大学について紹介していました。
あまりに革新的で、世界の教育を変えてしまうかもしれないその大学に心奪われ、すっかり目が覚めてしまいました。
そして帰宅後すぐミネルバ大学に関する書籍を買って読みふけりました。
あなたはミネルバ大学ご存知ですか?
アメリカの2014年開校の新設大学ですが、2019年の志願者数は世界各国から2万4千人。
合格率はたった2%(ハーバード以上!)の超人気難関大学です。
新設大学にも関わらず、ハーバードやスタンフォードなど、私たち日本人でも知る名門大学を脅かすほどの人気ぶりです。
なぜブランド力のない新設大学に世界中からエリート学生が集まるのか?
その秘密は今までの大学教育と全く違う独自のカリキュラムを持ち、世界の高等教育を変えてしまうかもしれない存在だからです。
このミネルバ大学について詳しく見ていくと、実は今子育てでとても大事だとされていることと共通点がとても多いのです。
今回は世界の高等教育を変えていくミネルバ大学について解説しながら、私たち日本の保育者が大切にしていることとの共通点を見ていきましょう。
子育てに本当に大切なことは何なのか?その本質が見ていきます。
ミネルバ大学とは?〜教育に革命を巻き起こす大学〜
さて、まずミネルバ大学とはどんな大学なのでしょう?
ミネルバ大学は今までの大学と何が違うのか?
なぜ、まだあまり実績のない大学に世界中からエリート学生が集まるのか?
ミネルバ大学について簡単に説明しておきます。

自分が学生だったらミネルバ大学に行きたい!
ミネルバ大学は誰が作ったか?
正直、大学を誰が作ったかなんてどうでもいい話です。
しかし、ミネルバ大学はこの創設の物語がとても重要でおもしろいので紹介しておきます。
ミネルバ大学の創設者はベン・ネルソン氏です。

ベン・ネルソン氏はスナップフィッシュというベンチャー企業のCEOを勤めた事業家です。
なぜ事業家が大学を?と思いますよね。
ベン・ネルソン氏は自身がペンシルバニア大学という一流大学出身であり、現在の一流大学の教育に疑問を持っていました。
現在の一流大学と呼ばれる大学の問題点は、高騰する授業料に対して、行われる授業は知識の伝達がメインの一方通行の講義形式であるということです。
ベン・ネルソン氏は、今の時代の学生にとって必要なのは知識の伝達でなく、「どのように考えるか?」という知識の使い方を学ぶことでないのかと考え、今の高等教育を変えるために動き出します。
そして、「世界一の大学をゼロから作る」という果てしない事業に挑戦していくのです。
始めは教育会のありとあらゆる人にバカにされ、「できるわけがない」と言われたベン・ネルソン氏の挑戦は数々の奇跡と周到な計画によって実現し、ミネルバ大学は誕生したのです。
ベン・ネルソン氏の熱き挑戦については詳しくは長すぎるので省略します。
知りたい方は「世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ」を読んでみてください。
私も本記事を書く上で大いに参考にさせていただきました。
全教育者に読んでほしい、胸が熱くなる本です。
とりあえずここで覚えておいてほしいことは、ミネルバ大学は、「世界の高等教育を変えるために作られた」ということです。
ハーバードを超える、エリート新設大学
ミネルバ大学は超エリート大学です。
CLA+というアメリカの思考力習熟度を測る評価テストではハーバードなどの名門校を抑え全米で圧倒的1位の成績でした。
また、世界中のエリート学生が受験しているので合格率は2%と低く、ハーバードを超える超難関校です。
大学の人気とは、基本的にはブランド力です。
アメリカのアイビーリーグ(ハーバードやイェール大学)と呼ばれる名門校は少なくとも100年以上の歴史を誇り、その卒業生らも数々の偉業を達成しています。
しかし、ハーバード、スタンフォード、ケンブリッジなどに合格しながら、その合格を辞退してミネルバ大学に入学している生徒が実際にいるのです。
まだ大きな実績があるとは言えない新設校に、名門校に入学できるレベルの生徒が集結しています。
名門校のブランド力を捨ててまで入学したい大学とは、一体どんな大学なのでしょうか?
教育に情熱を持ったエリート教員たち
実績のないミネルバ大学に世界中から生徒が集まるのは、その教育方法ももちろんですが、教師陣の魅力もあるでしょう。
数々の有名大学で教えていた、または有名企業で研究をしていた人物が、ミネルバ大学の教員に採用されています。
例えば、オバマ大統領の元で米国科学委員会のメンバーとして働いた経歴を持つ、ビッキー・チャンドラー教授。
そして、アカデミック部門のトップはハーバード大学で学部長を勤めたステファン・コリン教授。
あのハーバード大学で学部長という要職を勤めていた人物が、なぜ新設の名もない大学に来たのか?
胸熱くなるベン・ネルソン氏とステファン・コリン教授の出会いは「世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ」を読んでみてください。
ここで紹介したいのですが、本筋から外れるので省略します。
ともかく、ミネルバ大学の教員たちは新設大学であるミネルバ大学の「高等教育を変える」という挑戦に情熱を感じ、共に頑張りたいと集まった熱意あふれる人々なのです。
ミネルバ大学の最初の教員募集には、8人の募集枠に800人の応募があったほどの人気です。
オンライン大学
ミネルバ大学はオンライン大学です。
キャンパスを持たず、授業はすべてオンラインの動画コミュニケーションツール(zoomみたいな)で行われます。
え?すごくなさそうですか?
確かに、名門大学といえば一つの街のような超巨大なキャンパス、広大なスポーツ設備、国内有数の蔵書数を誇る図書館といった、そこにいるだけで名門とわかるような設備があるイメージですよね。
実は、ミネルバ大学がオンラインで授業を行うのは大切な理由があるのです。
その理由については後述しますが、オンライン大学と聞いて心配なのは学生間のリアルなコミュニケーションですよね。
でも、大丈夫です。ミネルバ大学は全寮制の大学で、生徒は皆同じ寮に住んでいます。
なので、生徒間のコミュニケーションはむしろ普通の大学より濃厚ですよ。
え?全寮制で同じ場所にいるのになぜオンラインで授業をやるか?
そこがポイントなのです。
詳しくは次の章で。
講義のない大学
ミネルバ大学の特徴は、なんといっても講義がないこと。
大学といえば、広大な教室で大勢の生徒を相手に、偉い学者の先生がする講義がメインですよね?
しかし、ミネルバ大学にはその講義がありません。
誰もがインターネットにアクセスできる今の時代、知識は簡単に手に入り、わざわざ高い学費を払って大学で学ぶものではないという考え方なのです。
実際MOOCというサービスがあり、超一流大学の講義は無料で動画で見れる時代なのです。(日本にもJMOOCという似たサービスがあります。)
確かに、教授から学生への一方通行の知識の伝達であれば、わざわざ決まった時間に集まって講義をしなくても、動画に撮っておいて好きな時間に動画を視聴すればいい話ですよね。
そんな大学教育の矛盾点を指摘し、ミネルバ大学では講義を行いません。
では何をするのか?
学生は授業の前にある課題について事前学習を行い、その上でディスカッションを行います。
このディスカッションがミネルバ大学の授業のメインです。
このディスカッション形式の授業の効率化のためにオンラインで授業を行うのです。
zoomを使ったことがある人なら想像がつくと思いますが、オンライン会議って全員の顔が見えるんですよね。
つまり、普通の教室と違い、全員が一列目にいるような状態。
かつ、小グループでの討論を行うときも物理的に移動しなくて済みますし、授業の発言内容・発言時間もすべて記録され、全員が公平に発言できるようになります。
また、授業が記録に残るので、テストを行わなくても授業内容から成績をつけることができます。
そのため、皆が同じ場所に住んでいるにも関わらず、オンラインで授業を行っているのです。
世界7都市で学ぶ

ミネルバ大学は世界7都市(サンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北)を4年間で旅しながら学びます。
7都市に学生寮があり、その学生寮に住み込んで、その街の文化を感じながら学んでいくのです。
実際、どの都市にもミネルバ大学のキャンパスはないため、学生は日々を街の中で過ごします。
そこの街そのものをキャンパスのように、街に溶け込んで学んでいくのです。
ミネルバ大学では、多様な文化に対する理解を持ち、世界中のどの国の人とでも一緒にプロジェクトを進めていける人材の教育を目指しています。
ミネルバ大学で学ぶこと
ミネルバ大学が校舎を持たず、世界を旅しながらオンラインで学ぶユニークな大学だということはわかりました。
では、そんなミネルバ大学ではどんなことを学ぶことができるのでしょう?
クリティカル思考を学ぶ
ミネルバ大学では、クリティカル思考という考え方を学びます。
クリティカル思考とはその事柄に対する最適解を導き出す考え方です。
もう少し簡単に言えば、実際に社会に出てから問題に直面した時にどう解決方法を導き出すか?という考え方を学ぶのです。
もっと平たくいえば、知識を学ぶのでなく、知識の使い方を学ぶのですね。
ではどうやって学ぶかというと、先生が教えるのでなく、生徒がある問題についてディスカッションしていくことで学んでいきます。
ある課題を先生が挙げ、生徒はそれについて事前学習してきます。(事前課題提出しないと授業に出れません。)
事前学習してきた知識を元にその課題について生徒同士でディスカッションします。
そのディスカッションの中で答えを導き出していく方法を学んでいくのですね。
徹底したアクティブラーニング

ミネルバ大学の特徴は、なんと言っても徹底したアクティブラーニングです。
そのために、授業で使うようのオンラインの動画コミュニケーションツールを開発してしまうほどの熱量です。
また、先生からの知識の伝達になってしまわないように、先生が90分の授業の中でしゃべることのできる時間は10分までと決められています。
そして、すべての学生が授業中の75%の時間をグループワークなど能動的に取り組む必要があるとも定められています。
本当に徹底していますね。
また、ミネルバ大学の授業で扱われる課題はビッグ・クエスチョンと呼ばれ、その課題は全員が同意できるただ一つの答えが存在しないことが条件となっています。
正解がある課題に取り組むのでなく、答えが決まっていない課題に取り組むことで、より一層ディベートが活性化するのですね。
では、なぜそんなにもアクティブラーニングにこだわるのでしょうか?
それは、人間が学習するにあたって講義形式よりもアクティブラーニングの方が効率がいいからです。
過去に数々の実験から検証されていることですが、実際学生時代覚えた知識なんてすでに忘れてしまっていますが、仕事をしながら覚えた知識って忘れないですよね?
それは、実際に知識を使っているからです。
そうして実際に知識を使って勉強していこうという方法がアクティブラーニングなのです。
私はこのアクティブラーニングにとても注目していて、大学はもちろん、小中高でもアクティブラーニングをメインに教えていけばいいと考えています。
先生が垂れ流した授業の内容を、テストのために暗記する学習なんて実社会に出てから何の意味もないですよね・・。
これからの子育てでは、アクティブラーニングに対応できる子、つまり考える力を持った子を育てることが大切です。
ミネルバ大学で学ぶ日本人
さて、ミネルバ大学がどれだけ魅力的な大学かわかっていただけたでしょうか?
しかし、アメリカの合格率2%の難関大学なんて日本人には関係ない・・・。
そう思われるかもしれません。
しかし、ミネルバ大学は75%が留学生です。つまりアメリカ外から入学しています。
その中には日本人の生徒もいるのです。
2019年の日本人合格者は4名だったそうです。
もちろんとても優秀な学生であることは間違いありませんが、ミネルバ大学の教育法はこれから日本にも大きな教育改革の渦を巻き起こすでしょう。
そんな教育改革の始まりに参加している日本人学生のインタビューがあるので紹介しておきます。
インタビューからも、若くしてとても聡明な様子が伺えますね。
なにより彼らは幼い頃から「自分で考える」ことを当たり前のように身に着けていることがわかります。
やはり、これからの子育てに大切なのは「考える力」なのだと彼らのインタビューを読んで確信しています。
これからの時代の教育とは?
さて、ここまでミネルバ大学の実態を見てきましたがいかがでしたか?
なぜ名もなき新設大学が世界の教育会に旋風を巻き起こしているのか?
それは、時代に求められているからです。
インターネットがとても身近になり、知識へのアクセスが簡単になった今、教育に求められるのは知識を詰め込むことではありません。
あなたは、ソサエティ5.0という言葉をご存知でしょうか?
もし、ご存じない方はこちらの2つの動画をご覧ください。
ソサエティ1.0とは狩猟社会
ソサエティ2.0とは農耕社会
ソサエティ3.0とは工業社会
ソサエティ4.0とは情報化社会(現代)
ソサエティ5.0とはこれから訪れるであろうサイバー空間と現実空間を融合させた社会。
要するに十から数十年後の近未来の社会のことです。
上の動画は片方は総務省、片方は経団連(日本の経済のトップです)が作っています。
今の子どもたちが大人になる頃にはソサエティ5.0の社会になっていってると、国を動かしている人々は本気で考えています。
そんな風に急速にに変わる社会の中、今までと同じ教育を続けていていいのでしょうか?
変わりゆく社会の中、今までの知識を詰め込む教育にしがみついていては地代についていけません。
これからの子ども達には、急速に変化する時代の中、どんな環境でも適応していいパフォーマンスを発揮できる力が求められているのです。
では、どんな力が求められるのでしょうか?
英語?翻訳機ができるのでいりません。
IT技術?子どもの頃に覚える必要はありません。
どんな環境にでも適応できる力とは、「生きる力」です。

生きる力の重要性についてはだいぶ前から言われていますし、現在では幼稚園教育要領・保育所保育指針・学習指導要領の中でもその大切さは明記されています。
それに時代が追いついてきたかのように、ミネルバ大学というアクティブラーニングをメインとした生きる力を育てるエリート大学が出てきました。
これから世界の高等教育は変わっていくでしょうし、その波は高等教育だけでなく、すべての教育へと波及していくでしょう。
これからの教育に必要なのは、一斉授業による詰め込みではなく、アクティブラーニングによる知識の使い方や学び方を学ぶことなのです。
現代の子育てで大切なこと

さて、世界の教育は大きく変わっていくと大風呂敷を広げましたが、私の本業は保育士です。
このブログも子育てブログです。
そこで、ミネルバ大学から学ぶ子育てのポイントに話を戻します。
ミネルバ大学は徹底したアクティブラーニングで教育を変えようとしています。
それは、急速に変わりゆく時代の中、必要なのは知識そのものではなく、知識を駆使して問題に対応していく力だと考えているからです。
これは今の子育て世代にとって本当に大切なことです。
受験戦争に勝ち残り、いい大学を出れば一生安泰という時代は確実に終りを迎えているのです。
2014年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が発表した研究論文によれば、米国の雇用者の47%が10年後(2024年)には職を失うというのです。
2020年現在、オズボーン博士の説が確実に正しいとは言えませんが、そのくらいIT技術の進化で職業は変わっていくというのは事実でしょう。
テレビでは自動操縦の車のCMを見るようになり、ドローンでの宅配サービスもアメリカでは認可が下りています。
セルフレジは当たり前になりましたし、ユニクロのレジのように置くだけで商品を認識してくれる機械もすでに実用化されています。
そうソサエティ5.0は始まりつつあるのです。
もはや、今子どもである世代が大人になったときの世界を予想することなど不可能です。
20年前、誰がこんなにもスマホに依存した社会になっていると予想していたでしょう。
バブル時代を過ごした団塊世代は、生涯雇用が終りを迎えるなんて想像もしなかったでしょう。
そう、時代は誰にもわからないのです。
だからこそ、子どもたちにつけてほしい力は生きる力です。
生きる力とは、以下2つの力です
- 自分を大切にする力
- 自ら考える力
他にもコミュニケーション能力など色々ありますが、何より大切なのは上記2つの力です。
これらの力を伸ばすことで、どんな時代でも、どんな環境でも自分の幸せを信じて力強く生きていくことができるのです。
生きる力については、こちらの記事でも書いてます。

また、これから日本の教育は大きく変わっていきます。
すでに実際の教育現場でもアクティブラーニングを取り入れようという動きは起きていますしこの動きが本格化すれば、ぼんやり授業をおとなしくやり過ごしているだけでは置いていかれてしまいます。
これからの子ども達に本当に必要なことはなにか?
改めて考える必要がある時代になっているのです。
まとめ
私たち幼児教育に関わる者の間では、「生きる力」の大切さは以前から言われていました。
しかし、実際に幼児教育を終えた後子ども達は一斉授業、受験戦争に巻き込まれていきます。
そんな日本の教育の実態から、「小学校に入ったら困るから」という理由で幼児期の子どもは大人の言うことを聞くようにしつけられ、”集団から外れないことこそ一番大切”と生きる力を奪われていました。
私は「大切なのは集団から外れないことでなく、自分で考えることだ」と信じていましたが、日本の教育の実態が気持ちを揺らがせることもありました。
そんな中、世界の教育を変えようとしているミネルバ大学の挑戦を知り、”私たちは間違っていなかった”という確信を持ちました。
これからの世界のリーダーを育てている教育機関で、知識よりも考えることが大切だとされているのです。
子ども達にとって大切なのは、知識を覚え込むことより、生きる力を育てることです。
では、生きる力をつけるためにはどうするか?
それはたくさん遊ぶことです。
英語教室や公文式で身につくかわからない知識の覚え込みに時間を使うくらいなら、子どもをたくさん自由に遊ばせてあげてください。
夢中になって遊ぶことこそが本当に子どもに必要な力を育てるのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※参考図書:世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ,山本秀樹,2018
生きる力についてはこちらをどうぞ。

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