絵本は好きですか?
私は大好きです。
大人も楽しいし、子どもにもいい影響ありそうだし・・・。
でも、「絵本って実際どんな影響あるんだろ?」って考えたことありませんか?
そこで今回は、絵本が子どもに与える影響についてしっかり解説していきます!
「子どもに良さそうだから・・・」より「子どもに良いから」とはっきりわかって読んであげるほうがより気持ちがいいですよね!
あ、ちなみに、You Tubeの読み聞かせ動画では、絵本の良い影響はほとんど得られないので要注意!

絵本の一番良い影響は誰がなんと言おうと親子のコミュニケーションだよ!!
親子のコミュニケーションと絵本

絵本が子どもに与える影響は?と100人の保育士に聞けば、おそらく100人がこう答えるでしょう。
絵本の読み聞かせによって親子のコミュニケーションが増える。
もうね、これが一番良い影響で、これだけで十分です。
他の良い影響なんてオマケみたいなものです。
なぜなら、子どもにとって一番良いギフトは親の愛情だからです。
きれい事ではなく事実です。
愛情については、詳しくはこちら↓の記事で解説してます。

さて、なぜ読み聞かせで親子のコミュニケーションが増え、子どもが愛情を感じることができるのでしょう?
まず、肌のふれあいです。
お母さんのヒザに乗り、背中にぬくもりを感じ、この世で一番安心できるお母さんの声が響いてくる環境は本当に心地の良いものです。
子どもにとって最高にリラックスした状態で、心地よい言葉のリズムを聞いたり、興味をそそられる絵を見たり、物語の世界に没頭したりする。
しかも、自分のペースでじっくり絵を見たり、お母さんとそのことについて話したりできる。
それが絵本の読み聞かせなのです。
実際、絵本の読み聞かせは自分がしてもらった場面そのものを覚えていなくても、なんとなく心地よかった思い出が残っている人が多いのではないでしょうか?
ある絵本に関する研究で面白い記述があるので引用しておきます。
絵本の読み聞かせ経験があるのは293名中,274名(93.5%)であった。274名の絵本の読み聞かせ経験者の内
絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響,浜崎隆司 黒 田 みゆき,2017
なんらかの影響があると答えたのは197名で,その中でポジティブな影響があった回答したのは197名(100%)
であった。
大学生を対象に絵本がその後の人生に影響を与えるか?という質問をした研究なのですが、その中でかなりの数の学生が絵本の読み聞かせでポジティブな影響が自分にあったと考えているのです。
つまり、絵本を読み聞かせてもらった経験をポジティブな思い出として覚えているのです。
お母さんのヒザで絵本を読んでもらった幸福な時間は、大人になっても忘れないのですね。
私もはっきりした場面ではありませんが、そういった経験があることは覚えています。
絵本の読み聞かせの一番いい影響は、親子の幸せな時間を作り出すことです。
それが絶対に一番です。
忙しい現代子育て家庭の中で、絵本ほどしっかり子どもと時を共有し、ゆっくり関わることができるツールはないと思います。
You Tubeの読み聞かせ動画を見せるのではなく、お母さんやお父さんが読んであげることが大切だとおわかりいただけたでしょうか?
ぜひ一日一回でも読んであげてください。
絵本の読み聞かせをするメリット

さて、先ほどの章で親子のコミュニケーションが一番いい影響だと言いました。
では、その他にはどんな影響があるのでしょう?
- 本好きになる
- 語彙力が伸びる
- 想像力が伸びる
- 心が落ち着く
といったところでしょう。
親子のコミュニケーション以外はオマケだといいましたが、それでも絵本にはたくさんの良い影響があるのも事実。
一つずつ解説していきます。
本好きになる
読書好きの人に小さい頃絵本をよく読んでもらったか?と聞けばYESと答えるでしょう。
私もそうです。
私は5人兄弟なのですが、私の兄弟は5人とも見事に読書好きです。
私自身高校生の頃は年間300冊ほど読んでいたほどの読書好きですし、他の兄弟も負けてません。
そして、私の実家には本当にたくさんの絵本があります。
私の両親はたくさん絵本を買い与え、読み聞かせてくれました。
その結果が5人とも読書好きへと成長したのです。
いま実家で絵本を開いても、絵本の内容を覚えていますし、私の読書の原体験は間違いなく幼少期の絵本の読み聞かせです。
え?私だけですって?
とんでもありません。
先ほどの大学生を対象にした研究でもこう記述があります。
読み聞かせが自分の人生にポジティブな影響
絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響,浜崎隆司 黒 田 みゆき,2017
をもたらしていることを示唆している。例えば,現在(大学生)の読書好きは,絵本の読み聞かせを通じて母親
とのコミュニケーションが原体験であることを述べている。
読書好きの人は、その理由は幼少期の絵本好きと答えるのです。
「本が好きになる」結構大きなメリットではありませんか?
語彙力が伸びる
読み聞かせで語彙力が伸びる。
そりゃあそうだろうという気もしますが、一応解説します。
人間の脳は、興味のあるものほど記憶しやすく、繰り返し入ってきた情報は記憶しやすいという性質があります。
(参考:WAOサイエンスパーク こうすれば記憶力は高まる!)
子どもは絵本が大好きで、くり返し「読んで」とお願いしてきます。
そうなのです。
絵本は興味を持って繰り返し読むので、自然と記憶に残りやすいのです。
また、知らない語彙が出てきても、それに対する挿絵が入っているので子どもにもわかりやすいですね。
金太郎に出てくる「まさかり」も絵を見ることでこういうものかとわかるのです。
絵本を楽しんでいるうちに自然と子どもの語彙力は高まっていきます。
想像力が伸びる
これも解説するまでもないですね。
絵本を通して空想の世界に触れることで子どもの世界は豊かになっていきます。
保育園の子どもは「おしいれのぼうけん

絵本が子どもの想像力を伸ばすのは、疑いようのない事実です。
また、絵本の中の登場人物に感情移入することで、共感力も伸ばします。
実在する人ではない登場人物が苦しそうにしていれば、それを見る子どもの顔はどこか苦しそうです。
相手の気持ちを想像する力も、絵本で伸びていくのです。
アニメとの違いは?

子どもの大好きなメディアと言えば、絵本の他にアニメがあります。
子どもはアニメにも夢中になるし、想像力が豊かになりそうですよね。
もちろんアニメを見ること事態が悪いとは思いません。
しかし、絵本とアニメは似ているようで全く違います。
アニメの場合子どもは受け身になってしまいますが、絵本の場合主体的になれるのです。
アニメは基本勝手に場面が流れていってしまいますが、絵本は子どものペースで触れることができます。
読んでくれるのはお母さんですから、自分が止めたい、もっとじっくりこの絵を見たいと言う時はすぐ止めれます。
また、わからないことをお母さんに質問したり、思ったことを聞いてもらったりと子どもからの発信がたくさんあるのです。
絵本を読んでもらうということは、一見受け身なようで実は子どもが主人公になれる場面なのです。
また、アニメは世界が完全に動画としてできあがってしまってますから、子どもが想像する隙間があまりありません。
絵本では少ない絵と文章で世界が作られていますので、足りない部分は子どもが想像します。
そうすることでこそ創造力は伸びていくと思いませんか?
アニメもお母さんや兄弟と一緒に見て楽しむのであれば良い時間ですが、同じ時間を使うなら絵本を読んでもらう時間のほうが子どもの将来にとってはずっとプラスになっていくのです。
絵本アプリについて
この頃は絵本も電子化が進んでいるようで、たくさんの絵本アプリがあります。
基本的に私は子どもにスマホを見せるのは断固反対派なのですが、それはそれとして絵本アプリは絵本の代用になるのか考えていきましょう。

結論から言えば、絵本アプリでは絵本が子どもに与える良い影響を十分に得ることはできません。
まず、絵本アプリのメリットを見ていきましょう。
- 子どもが勝手に絵本を触って破ることがない
- 無料の絵本がたくさん読める
- ナレーション機能がある
- 音楽や音声、絵が動くなどの仕掛けがたくさんある
- 絵本が多くなっても場所を取らない
こうしてメリットをあげていくと、「絵本アプリ良いじゃん!」と感じますね。
ですが、このメリットのうちほとんどは、絵本が子どもに与える影響という視点で見るとデメリットになります。
一つずつ見ていきましょう
子どもが勝手に絵本を取り出し、イタズラしない
まず、これはさせてあげてください。
絵本を自分で取り出し、自分のペースで眺め、遊ぶことがどれだけ子どものプラスになるか。
絵本を何故与えるのか?子どもの成長を助けるためですよね?
で、あれば、子どもが絵本を触る行動はプラスです。絵本を子どもが自由に触れないことは大きなデメリットなのです。
無料の絵本がたくさん読める
絵本って高いですよね。
一冊1000円くらいするなんてよくあることだし・・・。
無料の絵本がたくさんあってたくさん子どもに読ませてあげられるなんてすごいメリット!!と思いそうですが、違います。
まず、絵本にはやはり優れたものイマイチなものがあります。
何十年も読みつがれるロングセラーが数多くあり、それらは子どもに選ばれてきたから読まれているのです。
そういった良い絵本を読んでこそ、子どもに良い影響がしっかりと得られるのです。
無料の絵本はクオリティより数を揃えることが目的となっています。
500冊無料!!という宣伝文句のためにクオリティの低い絵本が並んでいるだけなのです。
子どもに絵本がいい影響を与えるからといって、内容は何でも良いわけではありません。
本物の絵本は、挿絵、テキスト、テキストのリズム感までしっかり考えて作り込まれているのですから。
もしたくさんの絵本を無料で読みたければ図書館に行きましょう。
無料で、長年読みつがれてきた名作たちが読み放題ですよ。
金銭的に余裕がなくて絵本をたくさん買うことできない人は、図書館で借りて、その中から本当に子どもが気に入ったものだけを買いましょう。
価値の低い絵本をたくさん読むより、数冊の子どもの大好きな絵本を繰り返し何度でも読んであげる方が、子どもの成長にはずっといい影響を与えますよ。

絵本は量より質が大事だよ!
ナレーション機能がある
ナレーション機能なんて本当にやめてほしいです。
害でしかないです。
せっかく親子の大切なコミュニケーションの時間なのに、その時間をぶち壊してしまいます。
決して上手でなくても、お母さんに読んでもらうのが嬉しいのです。
もちろんプロの朗読は価値あるものです。
私たち保育士も読み聞かせの方法を勉強しますし、声の出し方、緩急、間のとり方など様々なことを考えて子どもに絵本を読み聞かせます。
しかし、それは集団に読むからこそ必要な技術なのです。
多くの子どもを相手にする場合子どもの集中力を持続させるために、引き込む必要があるのでそうしているのです。
一対一でお母さんのヒザで読んでもらう時にそんな技術は全く必要ありません。
お母さんが愛情込めて、子どものペースで読んであげることが何より大事なのです。
音楽や音声、絵が動くなどの仕掛けがたくさんある
アプリならではの楽しい仕掛けがたくさん!・・・いりません。
絵本はシンプルだから良いのです。
絵と文章だけで余白がたくさんあり、子どもが想像したり、お母さんと話したりできることが素晴らしいのです。
たくさんの仕掛けがあっては、子どもは絵本の内容よりその仕掛けに夢中になってしまいます。
それではもうそれは絵本ではなく、そういう電子玩具です。
音や光が出ればそりゃあ子どもは楽しそうにしますが、それではスマホをいじっているのと変わらなくなってしまいます。
絵と文章だけのシンプルな絵本だからこそ、子どもの成長にいい影響を与えるのです。
絵本が多くなっても場所を取らない
これは紙の絵本ではかなわない、アプリ最大の利点ですね。
やはり絵本って場所を取りますし、ちょっとかばんに入れておくには重いですからねぇ。
しかし、先程も言いましたが、そんなに大量の絵本を家庭に揃える必要はないのです。
もちろん良い絵本がたくさんあれば楽しいでしょうが、場所がないのならば数冊でも大丈夫です。
同じ絵本を繰り返し読むことも十分子どもにはいい影響を与えるのですから。
また、個人的な話ですが、私の実家には今でもたくさんの絵本が残っています。
今でもそれらを手に取るとなんとも言えない嬉しい気持ちになるのです。
これってアプリでは味わえないことですよね。
子どもが育つ絵本の読み方

先ほど家庭での絵本の読み聞かせに技術なんて必要ないと言いました。
実際にそのとおりなのですが、一つだけ覚えておいてほしいポイントがあります。
それは、子どもと一緒に絵本を読む時間を楽しむことです。
当たり前の事のようですが、とても大切なことです。
「絵本の読み聞かせの時間は教育の時間!」と肩に力が入って、「聞いてないなら読まないよ」「勝手にめくらない!」「このお話の感想は?」となってしまっては子どもにとって楽しくありません。
絵本がなぜ教育効果が高いかと言えば、絵本というツールを使って親子が楽しく、濃いコミュニケーションを取ることができるからです。
この楽しい時間が崩れてしまっては元も子もありませんね。
絵本の読み聞かせ方についての面白い研究があります。
子どもに読み聞かせをする親の姿勢を共有型(読み聞かせの時間を一緒に楽しもうとする)と強制型(子どもをしつけようとする)とに分け、読み聞かせ中の子どもの様子を観察した研究です。
その中で、以下のような文章があります。
共有型 群 の 子 ど もは 母 親 と の 絵 本 場 面 に 自分 な りの 意味 を見 出 し,そ こ で よ り多 くの 語彙 を学ぶ こ と もで きる と同時 に,絵本 の 世界 に つ い て 自分 な りに解釈 した り,考えた りす る こ とが で きる と考え られ る。 一方の 強制型群の子 ど もに とっ て は,母親 主導で 進め られる絵 本場 面は むしろ 子 ど もの 興 味 や 関心 とは異 なる 文脈 となる可能性 もあ り,そ うす る と,子 ど も自 ら が 意味を 見出すの は 難 しくな る だ ろ う。
幼児期の 絵本の 読み 聞 か せ に母 親の 養育態度が 与 える影響,齋藤 有 内 田 伸 子,2012
つまり、共有型の親の読み聞かせ場面でのほうが、子どもは成長していくということです。
この研究からもわかるように、読み聞かせのポイントは一緒に楽しむです。
ぜひ参考にしてください。
まとめ
絵本の読み聞かせが子どもに与える影響について解説してきました。
絵本の読み聞かせには数々のメリットがありますが、一番のメリットは親子のとてもいいコミュニケーションの時間になるということです。
忙しい現代社会の中、どれだけ子どもと向き合えていますか?
絵本の良いところは少しの時間でとても充実したコミュニケーションが取れるところですね。
そのためにはYou Tubeの読み聞かせ動画や絵本アプリではなく、紙の絵本を一緒にめくりながら、子どもと一緒に楽しんであげてください。
大好きなお母さんやお父さんに絵本を読んでもらった時間は、子どもの一生の宝物になっていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちなみに、絵本ナビ
あなたが保育士さんならこちらの記事もぜひどうぞ

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