保育園で新型コロナウイルスの感染を防ぐことは可能か?

保育

ついに全国的に緊急事態宣言が出され、新型コロナウィルスの脅威を身近に感じてきました。

そんな中、自治体によって保育園を休園にするところも出てきています。

しかし、依然として通常保育を続けざるを得ない保育園も多くあります。

私も一社会人なので、保育園を必要としている方の思いも痛いほどわかります。

それでも、実際に保育園で働く者として、保育園において子ども同士、子ども保育士の濃厚接触を避けることは不可能だと感じています。

もしも自分が感染源となり、子どもたちの命が奪われることになったら…と思うと不安で、日々祈るような気持ちで保育をしているのが現状です。

子どもを保育園に通わせるべきか否かの判断基準の一つとして、個人的な意見ではありますが、肌で感じている現場の状況をお伝えしていきます。

※2020.7.30最新の状況を追記しました。

※本記事に書かれている内容は、現場ではたらく一保育士の個人的見解です。地域や園により保育環境は異なりますので、取られている感染対策・保育環境なども違います。あくまで参考として読みください。

保育園で濃厚接触になってしまう5つの理由

子ども同士が濃厚接触

まず一つ目は子ども同士は大人に比べ距離感が近いということです。

大人はパーソナルスペースが広くなり、あまり半径1メートル以内の距離に常に人がいるということは少ないでしょう。

しかし、子どもたちは年齢が下がるほど友だちとの物理的な距離が近づきます。

保育園のお迎え時部屋を見渡してもらえば、幼児クラスでは数人で固まって遊んでいる姿を目にするでしょう。

室内で座って遊んでいればその距離は子ども同士1mも離れていません。

2歳児以下であれば子ども同士肌と肌がくっついてじゃれ合っていることも日常茶飯事です。

感染を防ぐには2m以上の社会的距離と言われていますが、室内で遊んでいる場合そんなに友達と離れて遊んでいる子はほとんどいないでしょう。

抱っこの多い環境で保育士とも濃厚接触

ある意味、私が一番恐れているのはこの部分です。

2歳児以下の乳児さんであれば、一日の中で何度も子どもを抱っこします。

もちろんご家庭でも抱っこすることは大いにあるでしょうが、問題となるのは沢山の子どもを一人の保育士が次々抱っこする環境ということです。

保育士が座っていれば子どもたちは膝に乗ってきますし、抱きついても来ます。

抱っこすれば子どものよだれ、鼻水が知らず知らずつくこともありますし、子どもが自分の手を舐めていればその手で顔など触られることもあります。

そのままの状態で他の子を抱っこすることもよくあります。

特に今の時期は新年度になり子どもも不安定なので、抱っこしないように保育することもほぼ不可能です。

当然抱っこする度に洋服を着替えたりエプロンを取り替えたりすることは不可能ですから、私達保育士自身が媒介となり子どもから子どもへと感染させてしまうリスクは大いに有り得ます。

このように、私達保育士は抱っこによって子どもたちと毎日濃厚接触しています。

子どもはよだれ、鼻水を自分で処理できない

御存知の通り、鼻水やよだれは大きな感染源です。

そして、子どもたちは自分のよだれや鼻水を完璧に処理はできません。

もちろん、4、5歳児であれば鼻水が出れば自分でかみます。

しかし、その際鼻水が手についてしまうこともありますし、鼻をかむ度に手を洗う子などまずいないでしょう。

年齢が下がれば鼻水が垂れている子はよくいますし、それを保育士が気づいて拭いてあげます。

私は鼻水を拭いたあとはできる限り手を洗うようにしていますが、忙しさの中できない状況も十分あります。

鼻水を拭いた後手を洗わなければ感染源になると気づいていない保育士もたくさんいます。

また、赤ちゃんになればよだれが垂れてその辺につくことは日常ですし、おもちゃを口に入れてしまうこともよくあります。

形式としては舐めたおもちゃは即消毒という対応をしているところもあるでしょうが、実際の現場では完璧には不可能です。

そのため、鼻水やよだれは気づかないうちにあちこちに付着している状態ということです。

毎日掃除の際に消毒するようにしていますが、正直人手不足もあり消毒が完璧とは思えません。

給食を食べるスペース

食事をするときは人と離れて感染を防ぐようにと言われています。

しかし、子どもたちが給食を食べているときの机は一つのテーブルに5〜6人座っていることは普通です。

その上子どもと子どもの距離は広くても、手を伸ばせば隣の子に届く位の距離です。

その密集地帯の中おしゃべりをしながら食事をすれば、飛沫が友達の食事に知らず知らず入っていることもありえます。

また、2歳児以下であれば、間違って他の子の食器に手を伸ばす子もいます。

大人同士はできる限り人と離れて一人で食事をするなどの対応が可能ですが、保育園では物理的にも、子どもの発達的にも一人ずつ十分な距離を取って食事をすることは不可能です。

保育園での食事中の感染リスクはとても高いです。

密集して眠る子どもたち

保育園でのお昼寝は、隣の子の布団がくっついて敷かれてていることがほとんどです。

私は今までいくつかの保育園で働きましたが、隣のことの間隔を1m以上開けて寝ているところは見たことがありません。

物理的にスペースが無い場合も多いですし、子どもを寝かしつける際に子ども同士が近いほうが便利です。

また、SIDS(乳幼児突然死症候群)の観点からもこまめに睡眠チェックを行うので、子どもはある程度まとまった場所でお昼寝します。

たまに遊技場などでお昼寝をする保育園もありますから、そういったところでは感染予防で子ども同士の距離感を開けているかもしれません。

しかし、そういう園は多くはないでしょう。

そんな風に隣同士布団がくっついた環境下で、1〜2時間ほどのお昼寝をします。

これだけでも十分濃厚接触で感染リスクは高いと思います。

保育園で身近に感じるクラスター感染のリスク

様々な職業の方の子どもがいる

これは当然のことですが、子どもたちの両親には様々な職業の人がいます。

中には医療現場で最前線で働く人もいますし、介護、私と同じように保育士という方もいます。

そして、この状況下で保育園に通っているということは、ご両親は社会活動を続けているということです。

誤解のないように言っておきたいのですが、仕事を休めない人がいるのは当然ですし、そういう方を責めるようなつもりは一切ありません。

この状況下で医療現場など最前線ではたらく方は本当に尊敬しています。

ただ、客観的事実として子どもたちの背景にはリスクの高い職業の方もいて、リスクの高い職業の両親とも濃厚接触している子もいるということです。

もちろん私たちは子どものご両親の職業で子どもを区別しません。

保育園に行けば、子どもたちは本当に様々な人と間接的に接触しているということです。

※私の職場でも保護者の職場で陽性者が出ました。PCR検査の結果その子の保護者は陰性だったので事なきを得ましたが、あと一歩で感染経路ができあがるところでした。
ちなみに、その子は自主的にPCR検査の結果が出るまで休んでくれましたが、園側としては登園したら受け入れるという決定でした。なぜなら、「その子自身が濃厚接触者なわけではないから断れない」という判断でした。
強調しておきたいのは、保育園はありとあらゆる人が通い、ウィルスを持ち込む可能性のある上に、濃厚接触は避けられない場所ということです。(2020.7.30追記)

保育士は医療に関しては素人同然

恥ずかしいことではありますが、私は病気についてそんなに詳しくありません。

当然、子どもがよくかかる病気については多少の知識もつきますし、感染症が流行っているときは積極的に情報を集めようとします。

しかし、それはあくまで個々の努力であって、保育士だから特別に疫学を学んでいるということはありません。

基本的に通常の保育園では病児保育は行っていません。なぜなら医療に関する専門家ではないからです。

もしかしたら、保育士であれば病気に詳しいと思っている方もいるのかもしれませんが、誤解です。

私達の保育士資格では医療行為も認められていませんので、看護師さんの常駐していない園では病気に関しては素人の集まりなのです。

医療のスペシャリストである病院でも院内感染が起こってしまっているのに、素人の私たちにそれを防ぐすべはありません。

発熱時のあいまいな登園基準

これはあくまで私の保育園がある自治体の基準ですが、”37.5度以上の発熱があった子ども及び職員は解熱後24時間が経過するまで登園不可。”となっています。(2020.4.17現在)(2020.7.30現在継続されていますが、決して徹底周知されていません

どうでしょうか?感染を防げそうでしょうか?

新型コロナウィルスに感染しても、37.5度以上発熱しない人もたくさんいますし、解熱後数日して陽性となった人もいます。

しかし、乳幼児はよく風をひいいて熱を出すものですし、発熱した場合PCR検査を受けなければ登園不可といった対応はいまのところ現実的ではありません。

つまり、発熱しても次の日には普通に登園してきている子がいるのが現状です。

もしこれらの子ども・職員の中に新型コロナウィルス感染者がいたらと思うと、いつクラスター感染が発生してもおかしくないと日々感じています。

今の季節、外気の暑さから小さい子は簡単に37.5℃くらいにはなってしまいます。そのため、37.5℃を超えたからすぐ保護者を呼び出すというのは現実的に難しいです。(2020.7.30追記)

保育士・子どものマスク着用の難しさ

子どもたちでたまにマスクをしてくる子がいますが、これに関しては正直やめてほしいです。

なぜなら子どもはマスクを完璧には着用できません。

その上自分で管理することも難しいです。

誰かが使った後のマスクが落ちていて、他の子どもがそれを拾って持ってくるということが起きています。

ご家庭であれば自分のお子さんのマスクの管理は可能かもしれません。

しかし、保育園という集団の中では保育士一人で2、30人の子どものマスクの管理は絶対に不可能です。

保育園における、子どものマスク着用はむしろ感染リスクを上げると私は考えています。

また、私達保育士自身マスクを着用していますが、正直保育しながらはしんどいです。

もちろん保育でなくとも辛いのは一緒ですが、現場で保育士に聞けば多くの人がマスクして保育なんてできないと答えるでしょう。(2020.7.30現在、私の園では、熱中症予防のため屋外活動時は保育士もマスクの着用は義務ではなくなりました。)

まず表情が見えづらくなるため、子どもにこちらの思いが伝わりづらくなります。

そして、声が通らないため、子どもに何か伝えるとき、絵本を読むとき、歌をうたうときついつい外してしまう人を見かけます。

更に、子どもは普通に保育士のマスクを触ってきます。いたずらで取ろうともしてきます。

もっとなんとかできるだろうとご指摘あると思います。

しかし、できる限り感染防止をとマスクの着用している保育士がほとんどですが、徹底するのは中々厳しいのが現実です。

まとめ

保育園で新型コロナウィルス対策として、濃厚接触を避けることは可能か?

不可能です。

保育園は数ある施設の中でも非常に濃厚接触が多く、感染リスクの高い場所です。

その理由としては

  • 子ども同士は常に距離感が近い
  • 保育者は多くの子どもを抱っこする
  • 給食を食べるスペースが限られているので、食事の際距離が近い
  • 子どもは鼻水やよだれを管理できない。
  • お昼寝は密集して寝ている。

などがあります。

私の感じる感染の危機としては

  • 保育園には感染リスクの高い職業の方の子どもも通う
  • 保育士は医療に関しては素人同然
  • 発熱時の登園基準があいまい
  • マスクの着用の難しさ

などがあります。

社会が経済活動を維持するためには保育園は必要不可欠です。

私は経済など門外漢ですから、保育園の開園・休園の是非を訴えるつもりはありません。

しかし、保育園に子どもを通わせれば、どんなに外出自粛しても子どもたちの感染リスクは高いままだということは認識してほしいと思います。

社会から求められる以上、私は保育士としていつもどおり楽しく働きます。

子どもたちの命が大量に奪われるような事態にならないことを、ただただ祈るばかりです。

今回の記事を読んで、「うちの園はもっとちゃんとしてる!」と憤慨される方もいるかもしれません。

ただ、実際に現場で働く保育士の一意見として受け止めてもらえればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※現在コロナの感染者が爆発的に増え、私としては感染を覚悟しました。もう自分の働く保育園ではいつクラスターが起きてもおかしくない状況です。(近隣の園で陽性者あり)一番怖いのは私自身が感染源となることです。
私は幸い独身で、まだ若いので重症化することのないよう祈るのみですが、自園では小さいお子さんのいる方、妊娠している方まで働いています。それらの方に感染することのないよう、ただ祈ることしかできません。(2020.7.30追記)

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