
こんにちは!保育士のサボジローです。

この前、子育てには愛着の形成が大事って聞いたんだけど・・・。
愛着ってなに?

愛着の形成って難しそうだけど、要は子どもとの心のつながりのことだよ!
保育士の勉強をしていると必ず出てくる「愛着形成」。
今や普通に子育てをしている人にも認識されつつある言葉ですね。
別にそんな言葉知らなくても当たり前にできている人がほとんどです。
しかし、実は子育ての中で最も重要と言っても過言ではないのが愛着形成。
聞いてみれば「なーんだ」という当たり前の話ですが、誰にでもわかりやすく、かつ専門的に説明していきます。
保育について勉強中の方にもおすすめの記事です。
保育士さんはプロなのでしっかり説明できるようにしましょう!
Contents
愛着形成とは?

さて、さっそく本題ですが愛着形成とは、精神科医のジョン・ボルビィが1969年に著書「愛着行動」の中で取り上げた考え方です。
そもそも愛着行動(アタッチメント)とは何でしょう?
生物個体ー特に生後間もない生物個体が、危機的状況で不安・恐れといったネガティブな情動状態に陥った際にとる、他個体への近接(くっつき)行動ー厳密には、他個体への近接(くっつき)をはかろうとする傾向
アタッチメント(愛着)理論から考える保育所保育のあり方,初塚眞喜子,2010
ちょっと難しいですね。
簡単に言うと、赤ちゃんが不安になったり、怖くなったりした時にお母さんやお父さんにくっついて安心しようとする行動のことです。
赤ちゃんって抱っこしてあげると安心しますよね?
また、何かあると抱っこを求めますよね?
もっと言えば、大人でも不安な時や怖い時に誰かにくっつくと安心しませんか?
あれが愛着行動です。
そして、愛着形成とは、愛着行動を繰り返すうちに、いつもお世話をしてくれる人と心が通じ合い、その人への信頼を高め、特定の人に特別な愛情を持つことです。
この特定の人のことを「安全基地」といいます。
その人がいれば安心できる、自分は安全だと感じて心が安定する。
子どもにとってそのような安全基地の存在がとても大切です。
家庭ではお母さんやお父さん。
保育園では担任や担当の保育者。
それらの人が安全基地となることで、子どもは心が安定し、生き生きと遊ぶことができるのです。
また後でも説明しますが、愛着がしっかり形成されると、安全基地となる人が目の前にいなくても心が安定し、色々なことに興味を持っていくことができます。
それにしても、くっつくと落ち着くってなんだか不思議ですよね。

なぜ愛着形成が大切か?

愛着の形成は子育ての中で最も重要とお話しました。
愛着の形成がお母さんへの愛情をしっかり持つことだとわかれば、何となくそれもおわかりいただけると思います。
しかし、せっかくですから掘り下げてしっかり解説していきましょう。
まず、子どもにとって一番必要な力とはなんでしょう?
それは、「生きる力」です。
生きる力とは、自分の人生を幸せに生きていく力のことで、
- 自分を大切にする力
- 自分で考える力
この2つの力が大切です。生きる力について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

さて、この「自分を大切にする力」と「自分で考える力」は2つセットで身についていきます。
自分を大切にすることができるようになり、自分でじっくり考えていくことができるようになっていくのです。
そして、自分を大切することができるようになるには、愛着の形成が重要なのです。
バーストラウマという心理学の考え方があります。
赤ちゃんは、産まれる前は「お母さんの子宮」という安全で安心な楽園の中で過ごしています。
しかし、ある時突然激しい痛みとともに子宮から切り離され(出産のことです)、自分と母親が別の存在となってしまいます。
そして、空気、強い光、音、匂い、感触、全てが初めての世界に急に放り出されるのです。
こうして人間は、すべての人が産まれる時に大きなトラウマを抱えて産まれてくるというのが、バーストラウマの考え方です。
つまり、人間は産まれたときから不安に包まれているのです。
不安に包まれた赤ちゃんはたくさん泣きます。
泣くとお母さんが優しく抱っこして、色々お世話してくれて不安がなくなります。
また不安になると泣き、お母さんに抱っこしてもらって安心する。
そうした愛着行動を繰り返すことで、赤ちゃんの心は安定して不安がなくなっていきます。
こうして愛着が形成され、心が安定すると、色々なことに興味を持って遊ぶようになっていきます。
色々なことに興味を持って自分で遊ぶ中で色々なことを考え、自分で考える力を手に入れていくのです。
不安に包まれて産まれてくる
⬇
愛着が形成され心が安定する(安全基地ができる)
⬇
世界に興味を持ち、夢中になって遊ぶ
⬇
自分で考える力、「生きる力」を手に入れる
こんな風にして人の心は成長していきます。
愛着の形成は心の成長の出発点です。
お母さんやお父さんと愛着を形成することは、人生の基盤になるとても大切なことなのです。
アタッチメントの発達
では次は、どのようににしてアタッチメント(愛着行動)は発達していくか見ていきましょう。
※年齢はあくまで目安で、個人差があります。

アタッチメントは誰もが生まれ持ってくるものだよ!
第一段階〜生後3ヶ月頃まで〜
この頃はまだ特定の人との愛着形成はできておらず、アタッチメント欲求(不安になってくっつきたくなる)が出てくると誰にでも同じようにアタッチメント行動をします。つまり、誰にでも抱っこして欲しがります。
第二段階〜生後3〜6ヶ月頃〜
少しずつ特定の人との愛着が形成されてきて、人の顔を識別するようになってきます。
知らない人の顔をじっと見たり、泣いたりするでしょう。
人見知りの始まりですね。
人見知りは愛着が順調に形成されているサインでもあるのです。
第三段階〜生後6ヶ月ごろ〜2、3歳頃まで〜
この頃になると愛着がしっかり形成されてきていると言えます。
大好きな人がしっかりわかり、大好きな人の後追いをして泣いたりもします。
8ヶ月不安というお母さんとべったりくっついていないと不安になってしまう時期もこの段階ですね。
8ヶ月不安についてはこちらで詳しく書いてます。

この第三段階では、安全基地ができると外の世界に遊びに行くことができるようになります。
少しずつ 少しずつ、愛着が形成されていくに従って子どもの世界は広がっていくのです。
第四段階〜3歳以降〜
安全基地となる大好きな人との愛着がしっかり形成されています。
安全基地となる人が目の前にいなくても、心の中に絆がしっかり結ばれているので大丈夫。
「お母さんがぼくを大好きだから大丈夫」というように安全基地となる人との絆を胸に、色々なことへと挑戦していこうとします。
愛着形成という観点で言えば、心が自立するのはこの頃でしょう。
保育園でも、3歳児頃から多くの子がお母さんと泣かずにバイバイできるようになります。
・次ページ:愛着がしっかり形成されないと・・・。