三項関係はなぜ重要なのか?

三項関係はとっても大事な発達の目安だよ!
言語の獲得
三項関係の成立は、言葉を覚える上でも重要と言われています。
「あ、ちょうちょだね」とお母さんが指差したちょうちょを見て「これがちょうちょか」と認識することも、三項関係が成立していてこそなのですね。
自閉症児など三項関係が成立していなくても言葉をしゃべる場合もありますが、しっかりとした言語の獲得には三項関係の成立は欠かせません。
社会的参照
三項関係が成立するようになりしばらくすると、社会的参照という発達の段階が見られるようになります。
社会的参照とは、お母さんの表情や声色から、そのものがどういうものか判断する力です。
例えば、赤ちゃんが毛虫を触ろうとしたとします。
それに気づいた、お母さんが「危ないから触っちゃダメ!」と大きな声で注意すると、触ろうとした手を引っ込めるでしょう。
言葉を理解していない子でも、表情や声色などの雰囲気からその対象物がどういうものか判断することができるのです。
この社会的参照は赤ちゃんが色々なことを学んでいく上でとても重要になってきます。
何一つわからない状態でこの世に生まれてくる赤ちゃんは、どうやって物事を覚えていくのでしょう?
それは、お母さんや身近な大人から学びます。
しかし、ものすごい量の情報を日々キャッチする赤ちゃんはその中から大切な情報を選別して覚えていかなくてはいけません。
そんな時に役に立つのが社会的参照です。
お母さんの声色、顔色、視線、いわゆる雰囲気で物事の善し悪しや重要度を学んでいくのですね。
三項関係が成立しなければ社会的参照もできませんので、三項関係はとても大切なのです。
より詳しく社会的参照について、知りたい方はこちら。

9ヶ月革命とも呼ばれる
三項関係が成立するようになる頃を指して9ヶ月革命ともいわれます。
革命です。
三項関係が成立すると、そのくらい劇的に変わるのです。
お母さんと同じものを見て楽しいと感じたり、危ないと教えてもらったり、色々なことを学ぶためのコミュニケーションの土台が作られる時期なのです。
保育現場で実際に赤ちゃんを見てみても7,8ヶ月の頃と、三項関係が成立するようになった9ヶ月頃では全く姿が変わっています。
誤解を恐れずに言えば、人間らしくなるのです。
チンパンジーの赤ちゃんはとても知能が優れていますが、三項関係は成立しないと言われています。
人間を人間らしくしている能力の一つが、三項関係なのです。
私が花を見ている、そしてあなたも花を見ている、お互いにこの花が美しいと感じていることを知っている。
これも三項関係です。
つまり、相手の考えていることを想像する、「思いの共有ができる」ということなのですね。
人間にとって重要な能力を身につける時期なので、9ヶ月革命と言われているのです。
三項関係が育む心のつながり

先ほどの章で三項関係は思いの共有ができることだとお話しました。
三項関係が成立するということは、
「この花きれいだね」
「あ、かわいい猫ちゃんだね」
「おいしそうなトマトだね」といった共感ができるようになっていくということです。
「お母さんもこの花きれいだなって思っている」と想像できるようになる、ということはすごいことだと思いませんか?
一つのものを一緒に見て同じように感動できるということです。
美しい花、晴れた日の木漏れ日、しとしとと降る静かな雨、寄せては返す波・・・。
子どもと一緒に感じたい、自然の数々を一緒に感じることができるよになったということです。
三項関係が成立することで心が通じ合うようになり、お母さんと赤ちゃんのつながりはより一層深いものになっていくでしょう。
気になる子と三項関係

さて、三項関係は発達の重要な目安だと話してきました。
保育園で働いていると、まれに三項関係が成立しない子に出会うことがあります。
9ヶ月、10ヶ月、1歳になっても・・・。全く共同注意してくれない。
この場合注意して発達を見ていく必要があります。
三項関係はコミュニケーションの土台となっていくものです。
ここでつまづくということは、この先コミュニケーション面で発達の遅れが出てくる可能性があります。
自閉症の子は三項関係が成立しない子が多いと言われています。
とは言え、1歳前後くらいでは自閉症など発達障害の診断を下すには早すぎます。
その子の持ち合わせている性質から三項関係が成立していない場合もありますし、家庭で応答的な関わりが少ないため遅れている可能性もあります。
もし三項関係が成立しない子がいたら、その子の興味があるものにこちらが寄り添ってあげましょう。
水道から流れる水をじーっと見つめていたとしたら、一緒に見て「お水キラキラできれいだね」と声をかけるなど、その子の興味に寄り添ってあげれば、もしかしたら少しずつ三項関係が成立するようになるかもしれません。
もちろん、自閉症などの発達障害がある場合それで治るということではありません。
しかし、コミュニケーションが難しい子への援助としては、その子の興味に寄り添うことは大切です。
ぜひその子の世界を一緒に感じてあげてください。
まとめ
三項関係とは、お母さん、赤ちゃんの間で一つのものに一緒に注意を向けられるようになることを言います。
共同注意とも言います。
もう少し詳しく言えば、赤ちゃんとお母さんが物を通して気持ちを通じ合わせることができるようになることですね。
三項関係が成立すると、赤ちゃんは革命が起きたかのようにめざましく成長します。
なので、この頃のことを9ヶ月革命という言い方もするのです。
実際に現場で赤ちゃんを見ていると、9ヶ月頃からぐっと人間らしくなっていきます。
それは、三項関係が成立するようになることで、コミュニケーションの土台が出来上がっていくからなのですね。
三項関係の成立はその子の人生に関わってくる「生きる力」を育てることにも大きく関わっていきます。
生きる力が育つための土台として、人への基本的な信頼感はとても大切になってくるからです。
生きる力についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

上記の「生きる力」についての記事は、当ブログ「子どもの目」のいちばん大切な記事と言っても過言ではないです。ぜひご一読を。
子どもの発達にとってとても大切な目安となる三項関係。
もし身近に9ヶ月頃の赤ちゃんがいる場合は「三項関係が成立しているかな?」と注意して見てみてください。
赤ちゃんの見方が変わってくると思います。
ちなみにポイントは、赤ちゃんが対象物を見た後、振り返るかどうかですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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